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開拓の灯火〜北見道路4

「開拓の灯火」、これはある方からいただいた私費出版本のタイトルです。その方の祖父母は、本州から北見に入植し、今の北見の基礎を築いた方々の一人で、その一代記をまとめたのがこの本です。私は、北海道出身ではなく、開拓の歴史等には疎かったので、当時の北見がうっそうとした森林に覆われていたことや、何もない中、どのようして開拓していったのか等、教科書とは違い、生の声で当時の様子が語られているのが、面白く、あっという間に読んでしまいましたし、また、勉強になりました。

 さて、北見については、道路建設の是非を問う裁判をこの春まで担当していました。高速道路と同じ規格の道路を一般国道として整備する、いわば抜け道のような方法で予算を獲得し、建設を実施してしまうやり方に疑問を投げかける貴重な裁判でした。

 結果はというと、一審では、生物多様性条約の国内的効力について踏み込んだ判断を得ることができたものの、高等裁判所ではあっさりとこちらの請求は棄却されてしまいました。高裁の判断が出る頃には、工事は完成し、北見道路も供用が開始されており、高等裁判所の判断も無味乾燥な形式的なものであったことから、ひっそりと終わってしまった、そんな印象です。

 その後、この本を読んだのですが、読み終えてふと思ったのは、たった100年やそこらでここまで環境が変わるとは当時の開拓者達は想像もしなかったでしょうし、現在の状況を見てどう思うのだろうか、便利となったのだから良しとするのか、当時の面影すらなくなった北見のまちを寂しく思うのだろうか、ということでした。

 その時代時代に生きる人たちが判断することであって、そんなことを考えても仕方が無いかもしれませんが、私たちは恵まれた自然環境の中で活かされているのだということを考えると、その時々の都合で判断し、短期間に自然環境をがらりと変えることには、違和感を感じます。もっと謙虚に、長い目で、物事を判断する、一人の大人として、親としては、そんなことを思いました。



2014年5月15日 Tetsuki Namba