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ダムに沈む町

先週末、群馬県にある川原湯温泉に行ってきた。ここは八つ場ダム建設予定地内にあり、将来水没してしまうかもしれない場所だ。
 八つ場ダムは、ダムができることによって利水、治水の効果があるのか、効果に対する費用が膨大でムダではないか、ダムができることで生態系に悪影響を与えるのではないか、地域のコミュニティ、文化を破壊してしまうのではないかなど、ダムの問題点をして上げられている指摘がすべてあてはまる典型例のようなところだ。
 美しい景観の吾妻渓谷や伝統ある温泉街が水没することになるのだが、ちょうど紅葉の季節に行ったため多数の観光客が訪れており、こんな場所にあえて作るのかと驚いた。また、集落ばかりでなく、国道、JR、県道なども水没するため、すべてダム湖より標高の高い場所までずらし、長いトンネルを掘り、ダム湖には何本も橋をかける計画らしく、代替地の造成、トンネルの掘削、端の橋脚などの建設が進んでいたが、その様子を見ていると、下流域に首都圏を抱えているとは言え、本体工事以外にどれだけのお金が投下されるのか、だれが負担し、だれが潤うのか、現地をわずかな時間案内してもらっただけでも、次々の疑問がわいてくる。水没する崖地部分から代替地内の崖の岩場に模した人工物に移設された地蔵群を見たときには、ため息が出てしまった。
 50年も前にできた計画が、さまざまな疑問を投げかけられても、実現に向けて推し進められてしまうこの状況は、やはり何かがおかしい。
 この問題に取り組む人たちは、住民訴訟を起こしたり、シンポジウムを開催するなどより多くの人にこの計画や計画に対する疑問点について知ってもらおう、関心を持ってもらおうと努力しているが、http://www.yamba-net.org/、下流の首都圏に暮らす人たちのほとんどがこの問題を知らず、また関心も薄いと言う。
 北海道内にも多数のダムがあり、今もダム建設が進んでいる。山奥で人も少なく、八つ場ダムよりさらに人に知られることの少ないところで進む計画なので、人の関心も薄くなってしまうのも仕方ないかもしれないが、何とかしたい。
 ダムが完成して、水が貯まっているとそれなりに周りと調和して見えてしまうが、水の底にはかつて川や林があり、動植物や人も住んでいたのであり、その風景を是非想像して欲しい。
 弁護士会では、少し先になるが、平成21年3月14日にダム建設にまつわる問題について考えるシンポジウムを企画している。

 


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吾妻渓谷、ここもダムに沈んでしまう

 



2008年11月 3日 Tetsuki Namba | トラックバック(0)

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